今回は、ものづくり企業の商品開発の現状について書いてみたいと思います。

私は、商品づくり支援を提供する前、約17年ほど特許事務所で商品になる直前のアイデアを特許権や実用新案権にする仕事をしていました。
お付き合いさせて頂いたお客様の大部分は、中小企業でしたが、個人~大企業と様々なお客様とお付き合いさせて頂き、何千件ものアイデアに触れてきました。

私は、日々の特許事務所での仕事を通じ、「商品を作って販売することで利益を得る企業が意識すべきところを本当に理解しているのだろうか?」と常々感じていました。

なぜ、そのようなことを感じていたのかというと、
特許事務所に来られるお客様(企業)の多くは、販売前の商品や商品のサンプルを持参され、
その商品について、構造やメリットについて説明されます。
この時点では、特許を取得できるだろうという期待感を持って説明されますが、
プロの目から見て、この内容では特許は難しいという結論に至ることも少なくありません。
これで話が終われば、それまでですが、どのようにすれば特許を取得できるのだろうかという話になる場合が殆どです。

そして、この議論において、このようにすれば、特許を取得できる可能性は高まるという話になると、「わかりました!」
「商品の内容を今回の打ち合わせの結果に変更します!」
とか、
「じゃー、その内容で特許を取得しようと思います!」
と言われる企業が殆どです。

さて、このやり取りを見て、皆さんは何が問題かお判りでしょうか?

答えは、最初の思いと異なる内容の商品になったり、最初の思いと異なる特許を取得することになるということです。そのため、商品化を目前とした段階で、これまで検討してきた市場ニーズやそれを満足させる機能等について完全に無視した商品になってしまったり、商品を保護する(独占的に製造販売する)ことできない権利になっていたりすることになります。

このようなことになるため、私がお付き合いしてきた企業様には、これまでの検討結果を踏まえた商品やアイデア(権利の取得対象)になっているのか、確認して話を進めていましたが、実際、商品の企画段階からの流れを踏まえて(ビジネス全体を踏まえて)検討してくれる事務所は多くないようです。

これは、特許等の権利を取得することで特許事務所に来られる企業を対象とした話になりますが、権利の取得を目指していない企業でも同様のことが起こっています。例えば、縦割り組織になった企業において、マーケティングやマーケットリサーチを対象とする部署が検討した結果や、技術開発部門に的確に伝わっていなかったり、技術開発部門が開発を進めるうちに上流側の部署の検討結果が忘れて開発を進めてしまい、自分達の都合のよい内容の商品になったりしていることも少なくありません。

新商品や新規事業を立ち上げるための最上流にある部署での検討結果は、新商品を売れる商品にするため、新規事業を成功させるためには、最も重要な情報といっても過言ではありません。
そのため、これまで経営資源を投資して作り上げた商品を守るためにも、ものづくり企業は、商品づくりの上流から下流まで、最初の思い(検討結果)を一貫させる体制づくりをする必要があります。

上記のような、現場での現状を企業の経営者にお伝えしたり、セミナーでお話する機会もありましたが、自社は大丈夫と思わている経営者も少なくありませんでした。
もし、こんなに大きな市場があるのに商品が思うように売れない、自信をもって市場に投入した商品のはずが反響が少ない、権利を取得しているはずなのに、類似品が出回りだしている等と感じられることがあれば、一度商品づくりの体制を確認されることをお勧めします。