これまで、多くの企業担当者とお付き合いさせて頂きました。
 多くの担当者は、「人間性」の良い方ばかりでした。

 しかし、自社の利益を考えて行動する方が少なかったように思います。

 いやいや、「自社の利益を考えていない担当者なんかいないよ!」と言われる方もおられると思いますが、少々お付き合いください。

 ここで、「自社の利益」というと、メーカーや商売されている方からすると、当然に、商品やサービスが売れることで得られる利益を創造すると思います。
 また、利益について考えると、売上、原価、販売にかかる必要経費との関係も簡単に想像できると思います。広い意味で「自社の利益」と言えば、金銭的利益に繋がる商圏や、節税等もあるよと言われる方もおられると思います。

 これらのことは、メーカーや商売されている方の殆どの方が意識されていると思います。

 では、なぜ、「自社の利益を考えて行動する方が少なかった」と感じるかということです。

 先のブログにも書きましたが、私は特許事務所で長年勤務し、多くの企業の発明(アイデア)の権利化をお手伝いさせて頂きました。

 お付き合いさせて頂くきっかけは色々あり、事務所代表の知人の紹介や「代表のセミナーの内容に感銘を受けたので!」という理由も少なくありませんが、「出願数(実績)が多く、経験が豊富なようなので…」とか、「今までお付き合いしていた事務所を信用していたのに、取得した特許が商品を保護できていなかった(模倣品が出回りだした)ので…」と言われて事務所を訪ねて来られるお客様も少なくありません。

 これらは、ありがたいことに、事務所に対する期待感や信頼感によるものであり、その前提として、事務所に所属している人間がその業界における「プロ」のいう認識によるものと言えます。

 しかし、本当に、事務所や代表者の知名度等だけで、自社の商圏に影響を与える権利について任せてもいいのでしょうか。すなわち、表面的な情報だけで、直ちに期待感や信頼感を持っていいのでしょうか。これは、知財業界だけでなく、弁護士事務所や会計事務所等の専門家集団も同じです。

 多くの企業担当者は、初見であっても事務所の担当者とやり取りする場合、この人は「プロ」という認識の上で対応されます。
 しかし、現実には、「プロ」の域に達していない新人や若手が担当することもあります。このような場合、上司や先輩が同席したり、上司や先輩の指導のもと、担当することになる場合が殆どでしょうが、その上司や先輩のレベルも様々です。これは、大きな組織になった事務所ほど可能性は高くなります。

 また、有資格者であっても、現場を知らない人(メーカーでの経験や商売の経験のない人)も多く、教科書通りの対応しかできない人も少なくありません。すなわち、有資格者は、難関試験を突破してきた優秀な方々ではありますが、新人や若手は、実務という点において、経験不十分であるため、少なくともその時点においては、企業にとっては安心できる存在ではありません。

 にも拘わらず、「プロ」の意見として、素直に受け取られる企業担当者は多く、
その結果として、自社にとって利益に繋がらない(有効ではない)方向性であっても、「プロ」の意見が正として、業務を進められることも少なくありません。
 これに伴い、自社の商圏を十分保護できない権利を取得したり、無駄な権利を取得したり(無駄な出費)していることも少なくありません。
 その結果、知財なんて…、お金を無駄にした…と言われる場合も…
 特に、中小規模の企業がこのような状況になることが多いように思います。

 有資格者や専門家は、その専門分野の仕事をしてお金を頂いている以上、お客様の期待にお応えできる仕事をしなければいけません。私が管理者をしているときは、有資格者であろうとなかろうと、新人や若手に対し、お客様とお会いした時点で、お客様は「プロ」と接していると思われるので、その意識をもってレベルアップを図るように指導していました。

 しかし、「プロ」の域に達することは容易ではなく、なかなかプロの域に達しないものもいれば、挫折してしまうものもいます。それが現実です。

 では、企業とすれば、どのように対応すればいいのか?ということになります。

 まずは、お付き合いする事務所(専門家)を、表面的な情報(実績)でいきなり信用しないことです。
 事務所の実績は、多くの担当者が関与した結果であり、必ずも優秀な担当者が自社を担当してくれるとは限らないからです。まずは、事務所の専門家(担当者)とのやり取りを行い、信用できるか、自社の利益につながる業務を任せてもよい担当者かを見極めましょう。
 ダメかなと思ったら担当者の変更をお願いしてもいいでしょう。
 また、別の事務所(専門家)を探すことも念頭においておくことも必要です。

 次に、自社の人材育成です。
 上述の如く、専門家(有資格者)のレベルも様々であるため、事務所の業務の結果について責任追及をしても仕方がありません。
 そのため、リスク管理という上でも、有資格者や専門家と渡り合える人材を育成する必要があります。
 これは、決して、専門家を育成しなければならないと言っているのではありません。
 有資格者(専門家)は、難関試験を突破した優秀な方々で、専門分野の知識(法律的な知識等)は豊富です。
 従って、有資格者とやりとりする上で、有資格者の発信する情報を自社の状況と照らし合わし、自社にとってメリットのある結果に導ける人材を育成するということです。言い換えれば、有資格者のレベルを見極めた上で、有資格者と協働できる人材の育成です。
 具体的には、短絡的にものごとを考えることなく、事実整理と論理的な思考のできる人材の育成です。
 以外と、これのできる人材って少ないです。

 この論理的な思考のできる人材の育成に関するセミナー等、たくさんありますが、私の経験からすると、社員教育の一環として大人数を集めて行うセミナー・講義はお勧めできません。
 大人数を集めても、興味を持っている社員にしか伝わらず、義務的に参加している社員は、居眠りをしていたり、別のことを考えていることが殆どです。
 また、上司の指名による無料セミナーへの参加もあまりお勧めできません。これも義務的となり、居眠りしていたり、途中退席することも少なくありません。
 これらは、企業が社員の時間を無駄に拘束し、無駄なコストがかかるだけでなく、将来的な利益にもつながらないため、有意義なものにはならないように思います。

 従って、自社の利益を考える人材(専門家と渡り合える人材)の育成については、問題意識をもった社員を対象に、希望者参加型の少人数のセミナーや個別指導が、良い結果につながるように思います。

 ここまで、私が所属していた知財業界(特許事務所)と企業との関係を一例に挙げて説明しましたが、これは、知財業界だけではなく、多くの業界(有資格専門家やコンサルタント)でも言えることです。

 これまでの、外部の専門家との関わりで、「損をしなた」とか、「成果が出ていないな」とか、「これでいいのかな」と思うところがる場合、ご一考をお勧めします。
 また、上記の人材育成は、外部の専門家との関係だけでなく、自社のビジネスを俯瞰的に見ることができ、課題や解決策を見出すことのできる人材の育成にも繋がりますので、現状に問題があると感じる場合にも、ご一考をお勧めします。
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