市場の環境は日々変化しています。
このことは、多くのものづくり企業が認識し、変化していく市場に対応する商品を開発しようとしています。また、成長するものづくり企業は、新商品の開発を止めることなく、継続的に行っています。

このように商品開発を進める企業は、商品の付加価値を高め、販売価格を高める(利益率を高める)ことも意識されています。

しかし、付加価値の高まっている新商品はどれほどあるでしょうか。
特許事務所では、市場に投入される前の商品(公知になる前の商品やアイデア)が持ち込まれ、その商品に含まれるアイデアについての権利化のお手伝いをしています。

特許事務所の立場だけを考えれば、特許等の知財になるかどうかが中心に議論することになるのですが、例えば、そのやり取りの中で「機能は他社のものと同様だが、この構造或いはこの材料にすれば、低コストで作れる」といったメリットを付加価値だと主張される企業担当者が非常に多いのです。
また、「この新商品は、今までになかった商品であり、差別化ができていて、付加価値が高いです」と言われる企業担当者も多いです。

さて、この内容を見て、みなさんは、どのように思われますか?

低コストで作れることは、商品の付加価値が高まったことになるでしょうか。
確かに、低コストで商品を作ることができれば、利益率は高まるかもしれませんが、機能が他社と同じであれば、結果的に価格競争になったときに、販売価格を下げることで勝負に勝つことはできるでしょう。しかし、これは、商品の付加価値をユーザーに認めてもらった結果ではなく、価格勝負での結果です。

また、今までになかった商品は、確かに新規性のある商品ではあります。
しかし、それが、他社商品との差別化ができ、付加価値が高いとは言えません。
例えば、既存の商品Aに対し、Bという構造或いは機能をプラスすれば、これは、今までなかったもの、すなわち、新規性のある商品とは言えます。
しかし、プラスした構造或いは機能Bが、ユーザーの求めているもの(ユーザーニーズにマッチしていないもの)であれば、市場から見れば、商品の付加価値は無い、或いは無いものと言えます。
私は、新機種が出る度に機能をどんどん追加しているスマホ業界がその典型ではないかと思っています。スマホの場合、追加した機能に対するもの珍しさで購入を決意される人も多いかもしれませんが…

あなたの所属されている企業では、このようなことはないかもしれません。
しかし、私が長年多くのものづくり企業とお付き合いさせて頂いきたところ、
新商品の付加価値は、ユーザーニーズとの関係があり、高い価格であってもユーザーが買いたい、使いたいと言ってもらえるものほど高い、ということが理解されていない企業(担当者)が非常に多いのでが現状です。

このような企業は、商品の企画の段階で、市場環境やユーザーニーズ等についての検討をされていなかったり、十分な検討でなかったりする傾向にあります。
中堅・中小企業は、大企業のような経営資源を投入することはできませんが、
現状の経営資源の範囲でもやれることはあり、それをきちんとすれば結果に反映されます。
しかし、外部から客観的に見れば、これもあれもやっていないという状況であることは明白ではありますが、うちのやり方に問題はありません!、うちはやることをちゃんとしていますよ!と言われる企業経営者も少なくありません。

私もEareを販売したことで、自分の事業に対して客観的に見れていないなぁ~と感じることは多々ありますので、うちのやり方に問題はありません!、うちはやることをちゃんとしていますよ!と言われる企業経営者の気持ちもわかります。
しかし、厳しい市場環境で勝ち抜くには、客観的に何ができていないのか、何が足りていないのかを把握し、改善することが非常に大事なことではないでしょうか。

ものごとを客観的に見ること、特に自分や自社のことに関して客観的に見ることは非常に難しいと思います。そのようなときは、外部の力を活用されてはどうでしょうか。

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