売れる商品をつくるには、市場(ユーザー)ニーズを捉えることが重要です。
このことは、多くの方が知っています。

しかし、市場ニーズとは何か?という問いに対し、
市場が求めていること、お客様が欲しいと思うこと、等々、様々な回答が出てきます。
これでは、複数の関係者が「市場ニーズ」について議論しようとしても、
それぞれの解釈が異なる結果、議論の方向性が定まらず、的を得た議論ができません。
市場ニーズやマーケティングという用語をはじめととして、ビジネスの世界で日常的に使用している用語の解釈を何気なく、あるいは雰囲気で使用されてることが散見されます。
特に、日常的に使用する自社の用語を一般用語と思い込んでいる人も少なくなく、外部の人間との認識に齟齬がでることも少なくありません。
業務を円滑に進める上では、議論に使用する用語(意味・解釈)について、少なくとも関係者の間ではコンセンサスをとることも必要です。

市場ニーズについて話を戻します。
「市場ニーズ」という用語は、国語辞典では、「求め。要求。需要。必要。」とあります。一見、同じ意味のように見えますが、厳密には、対象や対象範囲、意味のランク(上位概念と下位概念の関係)等が異なります。
そのため、人それぞれ言葉のイメージが異なり、「市場ニーズ」とはという問いに対して、解釈が全員一致(ランクが一緒)となることは、現実的に難しいようにも思います。
だからこそ、市場ニーズを検討する場合、その場で使う市場ニーズという用語の意味・解釈、ランクを正しく理解し、少なくとも関係者間でコンセンサスをとることが重要です。

上述のように、市場ニーズという用語の意味(ランク)は、複数ありますが、
多くの研究者は、市場ニーズには、Needs(必要)と、Wants(欲求)とがあるとしています。
私は、セミナー等では、市場ニーズについて、消費者が必要と感じる必要レベルのニーズと、消費者があればいいなと感じる欲求レベルのニーズがあると説明しています。
必要レベルのニーズは、消費者がなくてならないと思うもの、
欲求レベルのニーズは、必ずしもなくてはならないものではなく、あればいいと思っているものといえます。
これを見れば、お判りいただけると思いますが、
消費者がなくてはならない(困る)という必要レベルのニーズを満足させると、より多くの消費者が喜びます。これに対し、あればいいなと思っている欲求レベルのニーズを満足させると、あればいいなと思っていた消費者或いは、そのなかの一部の人が喜ぶことになります。
従って、必要レベルの市場ニーズを満足させた商品をつくれば、多くの消費者をターゲットに販売でき、欲求レベルの市場ニーズを満足させた商品をつくれば、必要レベルの市場ニーズの場合よりも少数の消費者をターゲットに販売することはお判りいただけると思います。
従って、市場ニーズを検討する上では、少なくても必要レベルの市場ニーズを見つけ出すように心がける必要があります。

そして、一つの市場を見た場合、必要レベルの市場ニーズ、及び欲求レベルの市場ニーズは、1つに限らず、必要レベルの市場ニーズ、及び欲求レベルの市場ニーズの少なくとも一方が、複数存在することもあります。すなわち、必要レベルの市場ニーズが複数ある場合や、欲求レベルの市場ニーズが複数ある場合があります。
このような場合、複数の市場ニーズ(必要レベルのニーズ、欲求レベルのニーズ)には、市場規模(客数)や付加価値等が同位のもの、あるいは異なるものがあります。
一般的には、複数の市場ニーズ(必要レベルのニーズ、欲求レベルのニーズ)は、市場規模(客数)や付加価値等が異なる場合が多く、このような場合には、ビジネス的観点から見て重要度(優先度)が異なるため、市場ニーズのランク付けを検討することも必要となります。

市場に出回っている商品(特に、一般消費材)のうち、似たような商品が多数あるものは、表面的な市場ニーズ(消費者が認識している顕在化したニーズ)であって、欲求レベルの市場ニーズを満足させたものが多く、結果的に価格競争(安売り)が強いられることになっています。

このことからも判るように、商品づくり(開発)する上で、市場ニーズを検討する場合には、顕在化したニーズよりも、消費者が未だ気づいていない潜在的なものを見つけ出すようにしなければなりません。

多くの場合、優先順位の高い必要レベルの市場ニーズや欲求レベルの市場ニーズは、潜在的なものが多く、これを見つけ出すには、顕在化したニーズからさらに深掘りして検討しなければなりません。


しかし、多くのメーカーは、顕在化した市場ニーズ(消費者の欲求)だけを満足させようとする結果、価格競争を強いられています。この価格競争から脱却するには、市場ニーズの捉え方を習得しなければなりません。

先に記載した通り、市場ニーズ(必要レベルの市場ニーズ、欲求レベルの市場ニーズ)は、消費者が必要とすること、或いはあればいいなと思うことと説明しました。
しかし、市場ニーズは、消費者の感情を基準とするものではなく、消費者が触れる現状の環境・商品を基準に考えるべきものであり、今ある環境や商品等の技術的な課題が、市場ニーズであることを意識しなければなりません。すなわち、今ある環境や商品等において、技術的に解決されていないものが市場ニーズという捉え方をしなければなりません。

確かに、消費者の声を聴くことも大事ですが、それはあくまでも顕在化したものであるため、ビジネス的に優位にたつには、消費者の声を元に、潜在的な市場ニーズ(技術的課題)を見つけ出す必要があります。

潜在的なものは、目に見えない、気づかないものであるため、判るはずがない!と言われる方もおられると思いますが、未だに問題が残っている市場における市場ニーズを技術的な課題ととらえれば、技術的な理論や論理展開から導出することができます。

もし、そこまで市場ニーズを考えていなかったと思われる方が居られましたら、一度見直してはいかがでしょうか。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村