「知財をビジネスに!」「知財で稼ごう!」なんて聞かれたことはありませんか?

 特許庁を筆頭に、知財業界では「知的財産権」の取得や活用を推進させるために、「知財をビジネスに!」「知財で稼ごう!」と企業側に対して「知財」を最前に押し出しています。

 私はメーカーと特許事務所で併せて約30年業務を行っていたこともあり、
知的財産権の取得と活用が、ビジネスを救ったり、ビジネスを拡大させたりしたことを、自らも経験しましたし、お客様が経験されたことも見てきています。

 そのような中、上述のような、知財業界のPR(「知財をビジネスに!」「知財で稼ごう!」というPR)に疑問を感じていました。
 もちろん、知財が注目を浴びれば、特許庁に対する出願数も増えますし、特許事務所(弁理士)の仕事も増えるため、業界にとっては良いことです。私も、このPRによる恩恵を受けていた一人です。

 では、その恩恵を受けていた私が何に疑問を感じていたかといいますと、
企業の経営者や担当者の中には知財制度や知財の価値が何か理解されてはいない初級レベルの方が居られるにも関わらず、あたかも特許権や意匠権等の知的財産権そのものに金銭的価値があるかのようなPRは、権利取得の目的を見誤らせる要因になる感じていたからです。

 例えば、セミナーや講演会には、知財に興味を持たれている企業の経営者や担当者が参加されるますが、その中には、知財に興味を持ち始められたばかりの企業の経営者や担当者もおられます。
 そのような方に対し、「知財をビジネスに!」「知財で稼ごう!」というと、どのように感じられるでしょうか。

 これを受けてか否かは不明ですが、これまで「特許を出しているから商売が上手くいく!」「これで商品が売れる!」「ライセンスフィーで儲ける!」なんてことを言われていた方と、数えきれないほどお会いしました。

 現実的に、知的財産権単独では、その権利の金銭的価値の評価はできないです。

 ずいぶん前になりますが、知財業界において、知財価値評価が注目を浴びたことがあり、
検討された弁理士も多く居られましたが、実際、知的財産権単独では評価できないという結論に至っています。

 例えば、権利侵害のあったときの損害賠償額は、
 商品を販売したことによる利益や、実施料相当額に販売数量を乗じて算出することになっています。実務上、その権利の内容が商品の販売にどの程度貢献したか(寄与度)も見ますが、この点についての説明は割愛します。
 また、一般的に、専用実施権や通常実施権等で実施(製造・販売等)を許諾した場合、実施料(ロイヤルティ)の支払いが生じますが、その場合、実施料(ロイヤルティー)は、商品の売上の何パーセント等として決めることが多いです。

 このように、権利に基づく金銭的利益は、商品の販売が前提によるものです。
 これに伴い、アイデアに関する権利の金銭的利益は、そのアイデアを商品化して販売したと仮定し、どれだけ売れるか予測(仮定)によって決まることになります。

 これでお判りいただけたと思いますが、知的財産権の金銭的な価値は、その権利の内容を含む商品がどれだけ売れるか、どれだけ利益を生むかによって決まるといったも過言ではないのです。

 従って、商品づくりをされているメーカーは、第一は、売れる商品を作り出すこと、第二に、売れる商品を保護できる権利を取得することを考えなければなりません。

 しかし、知財業界は、知的財産の取得を前面に出しすぎている結果、誤解を生じさせているかもしれません。知財業界の言い分とすれば、メーカーは、売れる商品を作り出すことは当然のことであり、それを前提にPRをしているということになるかもしれませんが、現場では権利取得が優先となっていることが現状ではないかと思います。

 ここ数回、売れる商品づくり=価値ある権利づくりと書いていますが、これは、今回の投稿の内容が前提となっている考えですが、優先順位の関係から見れば、売れる商品づくり>価値ある権利づくりといった感じでしょうか。
 これを実践する上で現状では障壁のある企業も多いように思いますが、今回の投稿が何かの気づきになれば嬉しいです。
 売れる商品づくり=価値ある権利づくりの実践にご興味のある方は、是非お問合せください。


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