ビジネスを行う上で、経営戦略、商品開発戦略、知財戦略等、〇〇戦略というキーワードをよく耳にします。経営コンサルタント(コンサルティングファーム)においても、企業を相手に〇〇戦略の立案を強味としているところも多数あります。

 この「〇〇戦略」は、経営や事業の発展・改善・維持等の目的のために立案されます。
 そのため、多くの企業でも、「〇〇戦略」と題して戦略を立案されることがあります。

 しかし、戦略を立案しつつも、その戦略の落とし込み(戦術の立案、戦術に対応した武器づくり)ができていないことが多いように思います。

 私の所属していた企業でもそうでしたが、多くの人が、「〇〇戦略」という言葉を口にするものの、その「〇〇戦略」を落としこんだ「戦術」という言葉を口にする人(意識する人)が非常に少ないように思います。
 本来、企業の組織構造を考えれば、経営サイド(経営トップ)が経営戦略を表明すれば、その下位にある事業部のトップは、経営戦略を落とし込んだ「戦術」を考え、事業部に所属する担当者は戦術に活用する「武器」を作ることになります。

 例えば、開発部門の最上位の方向性と考えれば「開発戦略」となりますが、経営全体からみれば、「開発戦略」ではなく、「開発戦術」となるべきであり、開発部門のトップは、この「開発戦術」を立案し、開発部門の担当は、「開発戦術」に対応した「武器」となる新商品を開発することになります。
 同様に、知財部門の最上位の方向性と考えれば「知財戦略」となりますが、経営全体からみれば、「知財戦略」ではなく、「知財戦術」となるべきであり、知財部門のトップは、この「知財戦術」を立案し、知財部門の担当は、「知財戦術」に対応した「武器」となる権利づくり等を行うことになります。

 しかし、経営サイドが「〇〇戦略」を表明すると、事業部門のトップだけでなく、担当レベルまでもが「当社では〇〇戦略を…」なんてことを耳にすることがあります。
 このような状況を見ていると、だれが「戦術」を考え、だれが「武器」を作るのかと…

また、自社の経営全体の方向性(経営戦略)を語ることなく、自分の所属している事業を対象に「〇〇戦略」と言われることもあります。
 例えば、知財部門の担当者が、当社の「知財戦略は、…」と…
 このように言われる企業ほど、事案の応じた方向性や戦い方を論じず、ビジネス本に書いてあるような、一般的なやり方(例えば、知財包囲網の構築等)を採用される傾向があるように思います。
 戦術は、戦略や状況に応じて一つ、或いは複数生まれることになるはずなんですが…


 このような状況から、経営全体を見た「戦略」はあるものの、実際には「戦術あって、戦略なし」と言われる状態が生まれているように思います。
 これだけが原因かどうかは判りませんが、事業部が独自戦略を立案しそれを目標に走ってしまうことも、少なくないように思います。

「〇〇戦略」というと、かっこよく聞こえますし、何かやっている感があります(そう感じるのは私だけかもしれません)が、自分或いは自分の立ち位置(所属部門)をよく理解し、上位にある戦略を落とし込むこと意識することが必要ではないでしょうか。



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