新商品を企画・開発を進めると、色々なアイデアが出てきます。
その中で、どのアイデアを採用するか判断するに当たり、何を基準に決められていますか?
もちろん、そのアイデアを商品化すると売れるかどうかで判断されると思います。

私の場合、商品の企画・開発や知財の知識や経験もあるため、
アイデアを見るときは、
簡単に表現すると、
第一に、市場に受け入れられるかどうか
(コストはどうか、市場で売れるかどうか、他社に対して優位な技術かどうか等)、
第二に、権利を取得できるかどうか
を判断の基準にしています。

特許事務所には、多くのアイデアや新商品が持ち込まれ、これは特許になりそうですか?という相談が多くあります。もちろん、その場では、OK・NOなんて断言できるはずもありませんが、多岐にまたがる分野のアイデアや新商品、新技術に多く触れていると、技術的な目利き力は高まり、概ねOK側かNO
側かの判断はつき、判断通りの結果になることが多いように思います。

かといって、すべての技術や商品、権利等を把握しているはずもなく、当然ではありますが、市場に受け入れられるかどうか、権利を取得できるかどうかについての厳密な判断(最終的な判断)は、現状の市場の状況(情報)、知財の状況(情報)を収集し、分析して結論づけることが必要となります。

しかし、アイデアや新商品を持ち込まれるメーカーの担当者や技術者の中には、未だに「カン」に頼っているような方が居られるます。すなわち、根拠なく「売れそうなので」、「権利になりそうなので」、「絶対権利になると思うので」という前振りで商品やアイデアの説明をされる方がおられます。特に、一般消費材や文具のような小物を取り扱われるメーカーに多いように思います。小物を扱われているメーカーの言い分とすれば、薄利多売が前提で、調査や分析に手間や費用をかけていられないということになるのかもしれませんが、その小物であってもロングセラーになり、企業にとって儲け頭になる可能性も秘めていることを考えれば、適切な検討が必要ではないでしょうか。

ここで先ほどのような小物ではなく、大がかりな機械についての話になりますが、私自身体験したことを書きたいと思います。

私がメーカーで商品開発を担当していた頃の話です。
機械式立体駐車場の新商品(製品)を開発をすることになり、その開発の方向性が決まり、アイデアを出す段階にまで来ていました。
私は、あーでもない。こーでもない。と色々考え、2つのアイデアに絞りることに。
当時は担当者として業務をしていた関係上、上司の課長に2つのアイデアを提示し、どちらのアイデアを商品化するのか、どちらのアイデアで権利を取得するのかの判断をお願いしなければなりませんでした。
私自身、2つのアイデアのうちの第一案を推していましたが、課長は、2つのアイデアのうちの第二案でいこう!と…
なんで?
2つのアイデアを提示したのは私ですが、第一案を推しているのに。
理由を聞いても、「こっちの方が良さそうだから」というだけです。
しつこく聞くと、「こっちの方が特許になりそうだから」という返事です。

そのころは、知財の勉強をまったくしておらず、特許性の判断基準も「新規性」と「進歩性」があれば特許になるという知識レベルでもあり、商品としては?と思いつつ、自分よりも経験を積んでおられる課長の判断だから仕方がないかと諦めました。

そして、課長が良いとしたアイデア(第二案)で特許を取得する手続きが進み、特許出願も無事に終わりました。しかし、そのアイデアは、市場ニーズに合わず、コスト面でも不利という理由から商品化には至りませんでした。
ここまでの話は、よくある話です。

このようなことがあってから、3~4年経った頃、たまたま、大型店舗に買い物に出かけたときのことです。
車を停めるために駐車場に行くと、その大型店舗には機械式立体駐車場がありました。
ゲートが開き、車を駐車スペースに移動させようとしたとき、なんとなく見覚えのある機械(装置)が視界に飛び込んできました。
あっ!
何年か前に考えたアイデアと同じ駐車場!
そうです、課長のお眼鏡にかからなかったアイデア(第一案)そのものの駐車場です。
このアイデアは、特許出願の許可すら出なかったので、これを見た瞬間、愕然としたことを今でも鮮明に覚えています。
どこのメーカーが作ったのかと銘板を見ると、だれもが知る大手重工メーカーの名前がありました。
なんとも言えない悔しい思いになり、次の日に出勤して特許出願の有無を確認すると、大手重工メーカーは、当然のように特許出願をしていました。しかも、出願日は、私がアイデアを提案してから1年半以上もあとではないですか。
あのとき、課長が第一案を推してくれていれば、せめて特許出願だけはあり、権利になれば大手重工メーカーからライセンス料でももらえたのにと、諦めがつかない状況がしばらき続きました。

このとき、技術者は技術の目利きや特許の知識が必要だとつくづく思った記憶が今でも鮮明にあり、それもあって、すぐではありませんでしたが、特許事務事務所に転職し、知財付けの毎日を送るようになりました。

メーカーにとって、商品づくりは本業ではありますが、自社にとってメリットのある権利づくりを意識することも重要です。
これを実現するには、技術者は、業界を超えて多くの技術や商品と触れるとともに、技術以外に必要な知識を持って、技術の目利き力をアップさせることが必要だと思いますが、みなさんはどのように思われるでしょうか?

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