つい先日、
「アフターコロナで需要が上がる職種・下がる職種とは? データでみる日本の労働市場の現況と未来。」
という投稿を発見し、Facebookにもアップしました。
この投稿の中で、
「今後必要とされる10個のスキル」として、
 1.分析的思考とイノベーション
 2.アクティブラーニングと学習戦略
 3.複雑な問題を解決できる能力
 4.批判的思考と分析
 5.創造性、独創性とイニシアチブ
 6.リーダーシップと社会的な影響力(インフルエンス力)
 7.技術の使用、監視と制御
 8.リーダーシップと社会的影響
 9.復活力やストレス耐性と柔軟性
 10.推論、課題解決力と発想力
 が挙げられていました。
 ビジネス本等を普段読まれている方にすれば、これまでも重要と言われていた「スキル」と大きく変わることもなく、ふーんという感じでしょうか。
 それはさておき、頭を使う労働(ここでは、頭脳労働ということにします)は、上記のスキルを使って行う労働ですが、私は、以前から頭脳労働の評価に疑問を感じていました。

これらの頭脳労働は、可視化できない頭脳を用いた労働であり、その労働そのもの(頭脳を使って試行錯誤したことや、アイデアを創出する過程等)を直接評価することは難しいため、頭脳労働の評価の対象はアウトプットになるのが一般的です。
 例えば、研究者であれば、論文が評価の対象となり、技術者であれば、成果物である商品・製品が評価となり、コンサルタントであれば、プレゼンやプレゼン資料が評価の対象となり、特許事務所の弁理士や特許技術者であれば、出願書類が評価の対象となるのが一般的です。

このようにアウトプットを評価の対象にすれば、頭脳労働の成果を可視化でき、評価する立場の人にとって非常にわかりやすくなります。
しかし、アウトプットを重視した評価は、アウトプットの出来栄え次第で、その頭脳労働そのものの評価にまで影響し、本来評価されるべき労働の成果の価値までも否定され、無になってしまうことも少なくないのではないかと思っています。
もちろん、自身の頭脳労働の成果を第三者に理解して貰うには、アウトプット能力(例えば、ドキュメンテーション能力)も必要かと思いますが、人それぞれスキルのレベルも違い、思考能力の優れた人であっても、それを可視化することを苦手にされている方も居られるということです。すなわち、アウトプット能力は、本来の思考能力等とは切り離して評価すべきではないかということです。

評価する人、所謂、評論家には、自らも頭脳労働を行ってきた経験があり、その頭脳労働の大変さも知っておられる方もおられますが、特にその分野で実績も経験も積んだこともないにも関わらず名声があるだけで評論家として活動されている方も居られます。これは、決して、社会全体の話に限られるものではなく、会社という小さな組織の中にもあり得る話です。

前者のように、自分も経験を積んできた方であれば、バックグラントまで興味を持たれ、それに言及されることもあるため、アウトプット(例えば、ドキュメント)だけで頭脳労働を評価をされないと思います。
これに対し、後者のように、その分野で実績のない人は、評価の指標がアプトプットに絞られてしまい、アウトプットのみで頭脳労働を評価する傾向があるように思います。このような場合、本質的な部分についての評価はされないように思います。

例えば、私の経験した事例ですが、私はもの作りやアイデア出しが好きということでメーカーに就職し、ものづくりを実践してきました。その後、特許事務所で勤務していたときのことです。
あるお客様が、アイデアが出ないと悩まれており、私の上司に相談されたそうです。
その上司は、知財業界しか経験がなく、趣味でDIYもしたこともなく、当然ながら、アイデアづくりや商品づくりの経験は一切ありませんでした。
その上司は、何を思ったのか、お客様に私を紹介し、
「彼は、アイデア出しが趣味のようなものなので、彼にアイデアを出させます!」と…
業務命令だと思い、私はアイデアを具現化(商品化)できる程度まで(図面の完成まで)行いました。
その上司に完成を報告すると、お客様との間でアイデア提供を含めて特許出願をすることで合意でている(受注している)ので、私を発明者として特許出願する準備をするようにと指示がありました。
当然、アイデア提供の料金は請求できると思っていましたが、上司によれば、アイデア提供はサービスなので、通常の出願料金だけを請求すると…

はっ?設計事務所に頼めば、何十万円も請求される仕事をしたのに、サービス?

このとき、その上司は、知財業界にしかいなかったため、アイデア出し~具現化できるまでの頭脳労働を全く評価する指標を持っておらず、それを特許出願の書類作成(ドキュメント)でしか評価できない人だとはっきりわかりました。

また、大手コンサル会社出身のコンサルタントとのやり取りにおいて、必要なスキルは論理思考力といいつつ、この論理思考能力に関連すること何一つ言及することなく、最終的には、ドキュメンテーション能力を確認したいから、これまで客先に提出した資料を提示しろと言われたこともあります。
当然、守秘義務の関係があるため提示は拒否しました。
ここでは、その問題はおいておき、全てとはいいませんが、コンサル業界においても、最終のアウトプットだけで評価するところがあるのだと。優秀なコンサルタントは、アウトプット(ドキュメント)を見ればある程度のことは判るとでも言われるかもしれませんが、人の思考が判るはずがありません。現に、事実確認せずに分析した結果が、後に関係者のヒアリングによって、分析結果が事実と異なっていたなんてこともあるんです。
アウトプットの重要性は十分理解していますが、論理思考力がある(必要)とされている職種(業界)であっても、それだけを評価にしている現実ってどのように思われますか。

頭脳労働が重視される時代に変わるというからには、その頭脳労働を正当に評価できるしくみづくりが必要じゃないでしょうか?

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