先日、ニッチ市場を対象とした商品を製造・販売されている中小メーカーの社長にお会いする機会がありました。

その社長は、先代から経営を引き継がれた後継社長です。
先代の社長(現会長)は、アイデアマンで商品開発に積極的に取り組まれていました。
それもあり、後継社長が経営を引き継がれた現在においても、先代の社長が生み出された商品が主力商品になっています。

後継社長に商品開発の現状について聞いてみると、
「なかなか上手くいきません。」
「商品開発に課題があることは判っているのですが…」
と言われました。

さらに話を進めると、
「現在の主力商品の市場での認知度は高く、これまでは順調に経営できていました。」
「でも…」と一旦口ごもられ、しばらくすると、
「現在の主力商品に関する特許等の知的財産権がなく、よく似た商品が市場で出回り始めてきて…」
と。

後継社長は、
「このままでは価格競争に追いやられ、
先代の社長から引き継いだ会社の経営が危うくなる」
と思われていることをひしひしと感じました。

そのメーカーは、人数も少なく、新商品開発を組織として進めることは難しい状況で、
実質的に社長一人が新商品を生み出そうとされているような状況でした。
しかし、以前にも書きましたが、良いアイデアを生み出すには豊富な知識や経験が必要であり、
いくら悩んでいても蓄積した知識の範囲でしか物事は考えられません。

社長一人が新商品を生み出そうとされていることもあり、
その場で新商品に関するアイデアを提案してみたところ、
その後継社長は、ある特定の条件(例えば、地域)ではこのようになるので「ダメだ」というのです。このとき、後継社長の他に役員(先代の社長と二人三脚で奮闘されてきた役員)が同席されておられ、その役員の方は、いいアイデアですね!このアイデアをブラッシュアップすれば、ある特定の条件でも行けそうですね!と。

後継社長は、自分の意見が否定されたかのように、一瞬怖い顔をされましたが、
その場の雰囲気を察したのか、そのアイデアをヒントにしてみますと。
このような状況では、仮にそのアイデアをヒントにしても、
あーでもない。こーでもない。といって、商品開発が進まないように思います。

ブレーンストーミングのルールにもあるますが、良いアイデアを生み出すには、
提案のあったアイデアを否定することは避けなければいけません。

先代から引き継いだ企業を存続させたいという心情でありながら、孤独や責任の重さを感じておられる後継社長だから、自分が!という気持ちになるのかもしれませんが、商品を作り出して販売することを生業とするメーカーの経営者としては、社内の現状を客観的に把握し、必要な場合には、外部の力を利用することも視野に入れるべきではないでしょうか。

これまでにお会いした後継社長や後継者の方で、自分が!自社で!という気持ちを前面的に出される方を何度もお会いしました。また、自社の商品開発が進んでいないということを、隠そうとされる方(ひょっとしたら気づいていない方かもしれませんが)も少なくありません。

頑張ることは必要ですが、実のある商品開発(改善)はすぐにはできません。
手遅れになる前に、自社の商品開発力を見つめ直し、必要であれば、外部の力を利用し、また外部の力を活用することで、将来(特にアフターコロナの時代に入るころに)、自社だけで実のある商品づくりができる人材の育成や組織の構築を推進される中小・零細メーカーが増えればと思います。
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