新商品に含まれるアイデアやデザインを権利化しておくことは、
そのアイデアやデザインを独占的に実施できるため、企業にとって多くのメリットがあります。

ところで、
アイデアやデザインを権利化するために、特許事務所に出願の依頼をすると、出願するだけで少なくとも20万円ほどかかり、特許の場合、その後に出願審査請求や、拒絶の対応をすると、少なく見積もっても20万円~30万円ほどの費用がかかりますし、登録査定後は登録料・権利化後も年金が必要です。


企業にとってメリットのあるアイデアやデザインについて権利化するのであれば、この程度の費用は、必要経費として出費してもやむを得ないかもしれません。

しかし、年間を通じて次々と新商品を世の中に送り出す企業や、アイデアが豊富にある企業にすれば、生み出した新商品(アイデア)の全てを権利化することは、多大な出費になり、最悪経営を圧迫してしまいます。
また、特許料は、権利化10年目以降は高額になります。
そのため、多くの権利を所有していると、莫大な費用が必要となります。

以前お付き合いしていた大企業の話ですが、過去に出願した数が多く、そのうち権利になったもののうち権利化10年目以降になるものが多すぎるため、特許料が経営を圧迫する可能性があるという話もありました。

では、この費用の面だけを考え、何もしなくてもよいかというとそうではありません。
例えば、自社の商品企画開発に時間がかかったり、商品化の時期が未定(アイデア段階で止まっている)であったりした場合(アイデアが公知になっていない状況が前提)、他社が自社の商品の販売前にその内容を出願して権利化してしまうと、後に自社が商品化しようとしても、他社の権利の存在によってその商品の製造・販売ができなくなってしまいます。※なお、状況に応じて、先使用権等の議論が必要な場合もありますが、ここでは無視しています。

そのための対策として、公開技報の発行があります。
この公開技報は、自社のアイデア等を公知化させる手段として活用されます。
自社において、アイデアの権利化が費用面等で消極的な場合、この公開技報にそのアイデアを掲載しておけば、そのアイデアが公表され、また、公知になった日も明らかになります。
そのため、その日以降に他社が同じ内容で特許等を出願してもは、公開技報の内容(公知の内容)を根拠(新規性・進歩性なしで)に権利化されません。

※公知の内容と異なる部分を有し、その部分に特許性があれる場合等においては、権利化されることもありますが、自社のアイデアそのものの内容で他社が権利化することは阻止できます)。

大手メーカーでは、自社で技報を発行している場合もあり、このような手法は、大手メーカーにも採用されています。
中小・零細企業において、自社で技報を発行することは難しいと思いますが、
技報発行の難しい企業は、一般財団法人 発明推進協会の公開技報サービス( https://www.hanketsu.jiii.or.jp/giho/Menu01.jsp )を利用されてはどうでしょうか。

但し、生み出したアイデアには、非常に価値の高いものもあるため、全てを公開技報で公表するのではなく、どのアイデア・デザインを権利化するべきか、公開のみするべきかを見極めることも絶対に忘れてはいけませんし、それを見極める力を付けることも必要です。

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