「プロダクトアウト」/「マーケットイン」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。

「プロダクトアウト」/「マーケットイン」とは、メーカーが新商品を企画開発する際の姿勢(態様)をいいます。

「プロダクトアウト」/「マーケットイン」のそれぞれについて、簡単に説明します。

「プロダクトアウト」とは、自社(メーカー)が保有する基礎技術や、理論、計画に基づき、新商品を企画開発する態様を言います。このことから、「プロダクトアウト」は、市場を見ないで行う商品開発とも言われています。
これに対し、「マーケットイン」とは、メーカーが商品を企画開発するにあたり、市場の状況や市場ニーズに合わせて新商品を企画開発する態様を言います。

一般的に、市場(消費者)ニーズが無ければ商品は売れないため、新商品の企画開発は、「マーケットイン」で行うべきとも言われています。

これらは、学術的な理論であり、実際はどうかというと、完全な「プロダクトアウト」で新商品(製品)の企画開発を進めているメーカーは殆どなく、「マーケットイン」か、或いは、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」との融合といった感じで商品開発を進められていると思います。

学術的には、基礎技術(コア技術)のあるメーカーが、その基礎技術を基に商品開発を行うような場合、「プロダクトアウト」になります。
しかし、基礎技術を基に商品開発を行うような場合、基礎技術の用途展開等を検討する上で、当然に市場の状況(現状の技術や商品)を見て、市場における顕在的なニーズや潜在的なニーズを検討することになるため、結果的に、「マーケットイン」の商品開発になります。

以前にも書きましたが、市場ニーズは、その時にある商品(技術)に対して解消して欲しいという欲求でり、その時点にある商品や技術に対して解決すべき技術的な課題とも言えます。
このような観点から見ても、「プロダクトアウト」の商品開発において、自社(メーカー)が保有する基礎技術や、理論、計画に基づいて行うにしても、技術的な課題に着目し、それを改善した商品づくりをしていることからも、やはり「マーケットイン」の商品開発になります。

そうなると、「プロダクトアウト」/「マーケットイン」という概念を出してまで議論する必要はないように思えます。
しかし、私のメーカー時代の状況や、これまで多くのメーカーと関わってきた中で、
基礎技術に基づく商品開発を行う場合、技術に偏重する傾向にあり、市場調査や分析が十分でない(軽視している傾向にある)場合が多いように思えます。
その結果、基礎技術を中心とした技術の深掘りはするものの、市場ニーズに対応した技術の深掘りが十分でなく、想定したほど反響が得られなかったというケースが少なくありません。

このようなことから、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という線引きがされているのかもしれませんが、何れにしても、市場の状況や市場ニーズを的確にとらえることが必要です。
また、基礎技術のあるメーカーについては、技術偏重型になる傾向にあるため、「プロダクトアウト」/「マーケットイン」といったバランスのとれた商品開発にするようにされてはいかがでしょうか。

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